「ぽい」デザインにするとき
広告デザインを考えるとき、デザイナーはなるべく世の中で見たことのないものを作り出したいと考えます。
しかし完成したデザインをみると、多くの場合どこかで見たことのあるような仕上がりになるものです。
これは、一体なぜでしょう。
人の真似はしたくない。そう考えた当時小学5年生の私は、その小学校で開催される「潮干狩り絵画コンクール」で、自分なりに新しい技法を生み出しました。
それは、下書きを終えていよいよ色を塗るときです。画用紙に水分多めの絵の具を広げ、そこからティッシュペーパーで叩き塗りをし、なんとなく”感じ”を出すという方法で、自分なりに見たことのない絵を描きたくて一生懸命に表現し、やり遂げたことを覚えています。
そんな人の真似をしたくない私も、広告デザインをする上でわざと「ぽい」デザインをするときがあります。
一概には言えませんが、それは広告を見る側に配慮した結果です。
1.その物事に関する一般的なイメージのしやすさ
2.その広告を見るだろう時間の短さ
3.現代広告の最新イメージを出した方が良いとき(流行)
以上の場合、わざと「ぽい」デザインにしたります。
「ぽい」デザインをわかりやすく言うと、『かき氷』の旗のようなことでしょうか。
あの白地に赤文字で「氷」、背景は青い波のあのデザインです。
あれは日本人にとってものすごく一般化されたデザインです。
例えば、国道沿いで、かき氷を売ることになったあなた。
車通りが多いその店前に、なにか宣伝になるものを飾るとき「あの旗」がベストと言えます。
何か特別なこだわりがあるかき氷を開発したなら話は別ですが、ただただ蜜をかけたかき氷を販売する場合は、絶対あれが最善です。
そういう場合、私は「ぽい」デザインをわざと作ります。
状況や、伝えることに応じて広告の表現は変化します。